LOAD TO LAST MILE

辺境での仕事づくりを目指すラストマイルワークス株式会社の代表小林のブログ。カンボジア歴4.5年。

リアリティとは何か

最近よくリアリティとは何か、というとこを考えてます。
VRには主に二つのベクトルがあり、一つは我々のような、バーチャルリアリティを「事実上の現実」と捉えたもの、もう一つがゲームなどの「仮想的な現実」と捉えたものですが、向かう方向は全く違うようにみえます。
ただ、どちらにも言えることが、リアリティとは決して現実を再現することではないということだと思います。

今回はリアリティとは何かをいくつかの例を出して考えてみようと思います。
芥川賞を受賞した森敦さんのエッセイに「リアリズム1.25倍論」という望遠鏡のことを書いたものがあります。人間がものごとをリアルに見るためには「1.00倍」ではだめで、「1.25倍」にするのが良いという話。真実を何かを通して伝えるためにはプラスアルファで0.25の何かが必要になる。つまりはそういうこと。

たしかに日常を振り返ってみると、世の中大抵1.25くらいの乗数がかかっていることに気づく。似顔絵やものまねはその人の特徴を誇張すると似てきたりする、お笑い芸人の話が妙にリアルに感じるのは誇張されているからではないか、といった具合に。

もう一つ例を挙げるとすると、テオドール・ジェリコーの「エプソムの競馬」がわかりやすい。

 

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テオドール・ジェリコーの代表作『エプソムの競馬』

 

4頭の競走馬は躍動感が溢れているが、実際にはこういった前足と後ろ足を伸ばして走ることはありません。そのため制作当時は批判も受けていました。
しかし、本作品の説明は以下のように続きます。

ジェリコーは画家としては異例なほど熱狂的な馬の愛好家で、青年期に動物画家カルル・ヴェルネの許で修行していたこともあり、動物、特に馬の描写には長けていたにも関わらず本作では非現実的な≪フライング・ギャロップ≫にて競走馬を描写しているが、これは疾走する競走馬の最も重要な要素である≪速度≫を表現するために用いたことに他ならない。本作には偏愛的に馬を愛好していたジェリコーだからこそ描くことのできた馬の魅力の本質がよく捉えられている。

つまりジェリコーは本質、リアリティーが伝わると思い、わざとこのような描写をしたというのです。リアリティーとは何かますますわからなくなってきました。

しかし、少なくとも何かを通して現実をつたえようとするためには、ストレートに伝えてはダメだ、ということは確かだと思います。